ボカロ台本 オリジナルストーリー
彼の彼女 = 未来編 =
【登場人物】
木嶋 和樹(29) -Kazuki Kijima-
多忙だった日々にも、ようやく慣れてきた。
別れた後も、後腐れなく話してくる、元彼女との距離に悩む。
前に進むと決めて3年経つが、今もまだ心の片隅に残っている。
大窪 果乃(27) -Kano Okubo-
恋人だった和樹といい友人でいる。(と本人は思っている)
それでも恋人の基準が自然と和樹になっていることに気づいていない。
【本編】
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和樹 N:あれから3年が経った。
互いの関係にしっかりと見切りをつけていた彼女。
前に進んでいた彼女。
別れた後は、男の方が女々しいってのは聞いていたけど、まさか自分がそうなるとは
思っていなかっただけに、諦める――いや、自分も前に進む決意をすることは、僕にとって
すごく大事なことだった。
時間が経った今だからこそわかる。
本当に、彼女は大切な人だったんだ…と。
和樹 「……電話ぁ!?ったく誰だよ、こんな時間に!」
和樹 N:それは仕事の帰りが遅くなり、疲れてソファで横になっている時だった。
日付はとうに変わっている。
無視だってできたが、こんな遅い時間に電話をされることじたいに僕はイラつき、
勢いで、そして怒り口調で電話に出た。
和樹 「…もしもしっ!!」
果乃 「うわっ、びっくりした!……え、あれ?ひょっとして怒ってる?」
和樹 N:電話の主は聞き覚えのある声。僕は改めて携帯の画面を見てみる。
果乃 「……今日、だったよね。話そうって言ってたの。違った?」
和樹 N:画面に映っていたのは《 果乃 》の文字。
そう、僕が今まで生きてきた中で、心から大事な人だと思えた元彼女。
果乃 「ねぇ、聞いてる?」
和樹 「……あ、あぁ。ごめん、ちょっと疲れてて」
果乃 「みたいだね。今日はもうやめとく?」
和樹 「いや、大丈夫。明日休みだし」
果乃 「無理しないで寝たら?」
和樹 「ホント、大丈夫」
果乃 「そう?ならいいけど」
和樹 N:自分でも単純だなって思う。
彼女の声を聞いただけで、疲れだとか眠気だとかが、どこかへ行ってしまったんだから。
気持ちの整理をつけた日から、彼女とはほとんど連絡を取らなくなった。
以前は通話以外でも数か月に一回は、お互いの近況を話す仲だったが、
今じゃ半年に一回あればいい方。通話なんて、文字を打つのが面倒になって…ってのが
定着していた。
ただ今日に限っては、珍しく話す日にちを事前に決めていたんだけど。
果乃 「あ、そういえばね」
和樹 「なに?(笑って)まさか別れたとか?」
果乃 「うん」
和樹 「え?」
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