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声劇×ボカロ_vol.07  『 告白予行練習 』

 


step up Lovers
          
+ official

【テーマ】

あなたがいたから


【登場人物】

 榎本 夏樹(18) -Natsuki Enomoto-
幼なじみの優に恋をしている女の子。
明るくて、無邪気な面もある。

 


 瀬戸口 優(18) -Yu Setoguchi-
いつも一緒にいる夏樹を好きになる。
気持ちを隠し、夏樹に応援すると伝える。

【キーワード】

 

・予行練習
・応援と嘘
・彼(彼女)の存在
・友達から変わること

 


【展開】

 

・優に告白する夏樹。優で練習していると告げる。
・応援するという優。複雑な心の夏樹。
・占いを信じて、素直になる夏樹。声が震える。
・友達から恋人へ。変わらないものと変わったこと。

 

 


《注意(記号表記:説明)》

 

「」 → 会話(口に出して話す言葉)
 M  → モノローグ(心情・気持ちの語り)
 N  → ナレーション(登場人物による状況説明)

※ただし「」との区別をつけるため、MおよびNは、:(コロン)でセリフを表記する。


 これは公式設定を追加したバージョンです。

【本編】

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

夏樹 「優、今日ひま?一緒に帰ろうよ」

 


 優 「おう」

夏樹 N:さて、っと。準備オッケー。今日こそちゃんと言うんだから。

 


     二人になる瞬間を見つける私。それは意外と早くやってきた。
     靴に履きかえてすぐ、私は思い切って…。

夏樹 「あ、あのね!」

 


 優 「んー?」

 


夏樹 「あのっ…、いきなりでごめんね。ずっと前から好きでした!」

夏樹 N:言った!ちゃんと言えた!


     ドキドキする胸の音が妙に響く。
     聞こえないで、って思いながらも、わずかな沈黙が怖かった。
     今まで優と一緒に過ごしたことが無意味になっちゃうんじゃないかって。だから…。

夏樹 「…なんつってー。本気と思った?」

 


 優 「なっ…!?…ふーん」

 


夏樹 「ねぇねぇ、かわいい?ドキッとした?」

 


 優 「(ため息して)はぁ…。お前なぁ、本気になるよ!?」

 


夏樹 「え…っ?それホン…(ト?)」

 


 優 「(遮って)なんつってー」

 


夏樹 「なによ、それー!?」

 


 優 「(笑いながら)ははっ、仕返しだ、バーカ」

夏樹 N:じゃあ、なんでそんな顔するの?いつもみたいに笑ってよ…。

 

     私が告白の予行練習なんてしたから?

 

     でもね…、私が優を好きだって気づいてる…よね?

 

 


* * * * *


 優 N:いきなり告白されて戸惑ってしまった。
     冗談だってわかって、それがなんだか寂しくて、他に本命がいるんだって事実に動揺して。
     だからどんな顔したらいいかわからなくて『本気になるよ!?』なんて言ってみたけど…。

 


     これじゃあ、ホントのこと言えないよな…。

夏樹 「ねー、駅前のラーメン食べたいなー」

 


 優 「先週行ったばっかじゃん」

 


夏樹 「いいじゃん、行こうよー」

 


 優 「…まったく、太っても知らないぞ」

 


夏樹 「なにそれ、ひっど!」

 優 N:俺たちはいつもこうやって笑い、きっとお互いそれに安心感をもってる。

 


     1年のときからクラスが一緒で、つーか幼なじみで。
     俺が夏樹を好きになるのは、まぁ必然というかなんというか…。

 

     でも情けないけど、今のこの関係を壊すのが怖かった。
     ただ素直に『好き』と伝えることが、すごく怖かった。

夏樹 「帰ったら、また LINE するねー」

 優 N:ホントに何もわかってない。思わず応援してやる、なんて言ったけど、それがどれだけ辛いか…。

 

     明日には分かってしまう、あいつの好きな人。
     聞きたくないけど、知りたいなんて…。

 

 


 + + + +


夏樹 N:誤魔化してしまった…。だってね、ホントに怖かったの。
     優が、私の傍からいなくなることが…。
     でもね、でも…。明日は絶対伝えるよ?


     お風呂から上がって、優に LINE を送る。

夏樹 「私のわがままを、明日だけ聞いてくれる?…っと」

夏樹 N:いつまでも子供じゃない。私のこの心のわがままを…。

     返事はすぐに来た。

夏樹 「えっと…。少しの、わがままも、俺なら聞いてあげられる。お前なら大丈夫だって。がんばれ!
    ……うん。がんばるよ」

 

 


 + + + +


 優 「…うん。これでいいんだ、これで…」

 優 N:ホントは夏樹を他の誰かに盗られるなんて嫌なのに、応援してあげたくて、精一杯の言葉を選んで
     しまう。夏樹がくれた言葉を、自分が送った言葉を見返しながら思い出す。

 優 「練習じゃなくて、俺に本気になれよな…」

 優 N:夏樹の顔を思い出し、自分の口から不意に出た言葉に恥ずかしくなってしまった。
     握り締めていた携帯を床に叩きつけようとして、布団に顔をうずめる。
     誰も見てなんていないのに、なんだか顔を隠したくて…。

 

 優 「くっそ、なんか悔しい…」

 優 N:しばらく顔を上げられない。絶対に顔、真っ赤だ。


* * * * *


夏樹 N:こういうときって、いろんなことを思い出す。でもたくさんの思い出の中でも、優と過ごした
     毎日はいつだって輝いていて…。

 

     この気持ちに決着をつけよう。そう思って、ふと見た朝の占い。
     かに座の私は1位。ばっちりメイクして、ラッキーアイテムもたくさん持って、いざ学校へ。

 


     変じゃないかな?
     かわいいって言ってくれるかな?
     今日くらい、いいよね?

夏樹 「待って、優!最後にもう一回…っ」

夏樹 N:放課後、帰ろうとした優を呼び止める。

 優 「ん?あー、はいはい。どうぞ」

 


夏樹 「好きー」

 


 優 「なんか足りない」

 


夏樹 「好きです!」

 


 優 「もうちょっと」

 


夏樹 「好きだヨー」

 


 優 「ほらー、もっと感情こめてー」

 


夏樹 「好きなんだYO!!…いった(痛っ)」

 


 優 「あほ。練習だからってふざけんなっつーの」

夏樹 N:バシッと私を叩いた優は、いつも通りの笑顔だった。
     それを見て、私はまたドキッとして、あぁ、やっぱり好きだなって思ったんだ。

 優 「じゃあ、がんばれよ!応援してるからさ」

 


夏樹 「…っ、待って!!」

 


 優 「ん?どうした?もう一回するか?」

 


夏樹 「…えっと、嘘つきでごめんね。ずっと前から好きでした!私と付き合ってください!」

夏樹 N:声、震えてる…。でも、やっぱりちゃんと伝えたい。優が大好きだって…。

 優 N:今朝の占い、当たれって思った。あの予行練習をホントのものにしてほしいって思ってた。
     震えていた夏樹の声が、また冗談とか嘘なんて可能性を吹き飛ばす。

夏樹 「ねぇ、優。これ以上好きにさせないでよ…」

 


 優 「…(ため息)はぁ。まったく、お前は…」

 


夏樹 「…な、なに?」

 優 N:これ以上驚かせんなよ。お前の気持ちがわかったからこそ、嬉しくて、にやついちゃうだろ?
     余裕なフリぐらい、させてくれよな?

 優 「こちらこそ」

 


夏樹 「え…?それって…」

 


 優 「そういうこと」

 


夏樹 「ホン…ト…?」

 


 優 「ほんと。さーて、なんかすっきりしたし、帰るか」

 


夏樹 「あ…、うん!」

 


 優 「ほら、手。…ん」

夏樹 N:占いなんて普段全然信じてないけど、今日だけは信じてよかったって思ってる。
     優がそうすることが当然のように手を差し出してきたことも、自転車の後ろに乗る私を
     気にかけてくれることも、すべてが愛おしく思えた。

 


     でもね、優。見られないようにしてたみたいだけど、バレバレ。
     顔、真っ赤になってるよ?

 


 + + + +


 優 N:ずっと言えなかった。

夏樹 N:嘘吐きな私。

 優 N:伝えることから逃げていた。

夏樹 N:素直になれなくて…。

 優 N:でも…。

夏樹 N:私はいつだって、優しか見てなかったのに。

 優 N:すぐ後ろに夏樹がいる。それだけで、胸の音が聞こえてしまいそうで。

夏樹 N:恥ずかしいけど、寄り添ってみる。優に私の胸の声を聞いてほしくて。

 優 N:だからしばらくは余裕なフリ、しててもいいよな?

夏樹 N:優も私と同じくらいドキドキしてる。ちゃんと聞こえてるよ、優の声。

 優 N:今日、俺たちは。

夏樹 N:恋人同士になった。


《 タイトルコール 》   ※英語版・日本語版のどちらか一つを選ぶ。

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≪ type.E ≫

夏樹 「 step up Lovers 」
   ( ステップ アップ ラバーズ )

≪ type.J ≫

夏樹 「 一歩先の恋がしたくて 」

 

 


 = = = = =


 優 「なんだよ、しつこいぞ」

 


夏樹 「しつこくないよ!ちゃんと聞きたいんじゃん!」

 


 優 「え、何を?今日の夕飯?」

 


夏樹 「なんで!だってさ、私まだちゃんと優の口から聞いてない!」

 


 優 「…だってさ。代わりに言ってくれる方はこちらの宛先まで?……ほら、帰るぞ」


夏樹 「ちょっと!ねぇ、優。待ってってば~っ!」

 


 優 「はいはい、この話終わりねー。(手を一つ叩き)はい、お わ り」


fin...

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