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声劇×ボカロ_MDV-M

第1章  Break my fate
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第4話 《 絡まる鎖 》
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

【登場人物】

 

 ミク    16歳
記憶を失くした少女。
怪物に遭遇したところをザインに助けられる。

 


 ザイン   24歳
旅を続けるトレジャーハンター。
遺跡を目指す途中でミク出会う。

 


 アイナ   16歳
ザインをマスターとするヒューマノイド。
言えば何でもこなす万能型。

 


 ギルス・マドラー   25歳
帝国特殊部隊"マッドギア"の隊長。
口調は荒いが、仲間想いで直情的。

 


 ロレン・アルロス   25歳
帝国特殊部隊"アルアクロス"の隊長。
皇帝への忠誠心が強い。

 


 エドルド・クレイバー   51歳
ジーグ帝国皇帝。
幼い頃から野心家で、腹の底が読めない。

 

 

 

 -------------------------------------------- 
| ミウジック山脈                                    |
|                                            |
|ジーグ帝国とシンガ王国の国境に連なる山脈。帝国側は急勾配となっている。         |
|国を結ぶ唯一の登山道には、それぞれが検問所を設けていて、争いを未然に防ぐ役割を持つ。  |
|人の手がほとんど入っていない、世界でも数少ない場所。                  |
|                                            |
 -------------------------------------------- 

《注意(記号表記:説明)》

 

「」 → 会話(口に出して話す言葉)
 M  → モノローグ(心情・気持ちの語り)
 N  → ナレーション(登場人物による状況説明)

 


※ただし「」との区別をつけるため、MおよびNは、:(コロン)でセリフを表記する。
 また本編は"N(ナレーション)"の中に"M(モノローグ)"が含まれることが多い。

 

 

 


【本編】
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 


ザイン「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…。さすがにもう追ってこないだろ」

 


アイナ「マスター、大丈夫ですか?」

 

 

ザイン N:帝国側の検問所を突っ切り、俺たちは山道で立ち止まった。
      辺りを見渡すと、森とはまた違った感じで木々が生い茂っている。
      森の影響か、ここら辺は巨大な樹が多く、それが光を遮っていて、昼なのに薄暗い。
      そのせいか、空気もひんやりしている。

 

 

ザイン「はぁ…。ん?あ、ああ。少し休むぞ」

 


アイナ「はい」

 


ザイン「あんたも、災難だったな。あんな怪物に出くわすなんて」


ミク 「え?あ、はい」

 


アイナ「あなたは平気……そうですね」

 


ミク 「は、はい」

 


ザイン「マジかよ。息上がってんの、俺だけかよ。歳は取りたくないもんだな」

 


アイナ「そうですね」

 


ザイン「おい、そこは突っ込むところだぞ。マスターはまだ十分お若いです、ってな」

 


アイナ「はあ」

 


ザイン「……まぁ、いい。ところであんたは、どうしてあんなところに?」

 


ミク 「どう、して?………逃げて、きたんです。鳥籠から」

 


ザイン「鳥籠?なんだ、箱入りのお嬢ちゃんだったのか」

 


ミク 「そ、そんな感じです」

 


ザイン「ふーん。ならきっと親御さんが心配してるだろう。あんたは戻った方がいい」

 


ミク 「親は……いません」

 


ザイン「……なんか訳ありみたいだな。行くあてはあるのか?」

 


ミク 「……」

 


ザイン「…ふむ。なら俺たちと来るか?」

 


ミク 「え?」

 


ザイン「俺たちはこの山を抜けた先の遺跡を目指してる。俺はトレジャーハンターってやつでね。遺跡やらに
    残されたお宝を探して旅してんだ。どうする?途中に村でもあったら、そこで別れてもいい。戻れと
    はいったが、戻るにしろ進むにしろ、お嬢ちゃん一人じゃ危ないだろう」

 


ミク 「いい、んですか?」

 


ザイン「旅は道連れっていうだろう?それに女の子一人増えたところで、大した問題じゃない。むしろこのま
    ま一人で行かせる方が、問題だからな」

 


ミク 「じゃ、じゃあ…。よろしく、お願いします」

 


ザイン「おう!アイナもいいよな?」

 


アイナ「はい。マスターがそう決められたのであれば」

 


ザイン「ってわけだ。よろしくな、えっと…」

 


ミク 「え、あ…。ミク、です」

 


ザイン「ミクか。俺はザイン。で、こいつはアイナ」

 


ミク 「アイナ、さん?」

 


ザイン「アイナでいい。こいつはヒューマノイドだ。昔オブリガードに行った時に、アウフタクトの知り合い
    から譲り受けたやつでな。一般に流通してるやつより頑丈で、物覚えがいいらしい。トレジャーハン
    ターなんてやってるもんだから、それを聞いて即決したんだ」

 


ミク 「ヒューマノイド…」

 


アイナ「……どうかしましたか?」

 


ミク 「あ、いえ。すごいんですね、アイナ」


ザイン「無理して敬語も使わなくていいぞ。もちろん俺にもな。これから一緒に旅をするんだ。気兼ねなく話
    してくれて構わない」

 


ミク 「はい。あ…。えっと……うん」

 


ザイン「ふっ。それじゃあ、ミク!アイナ!日が沈むまでに、山を抜けるぞ」

 

 


* * * * *

 

 


ギルス「なんでてめえがいんだよ?」

 


ロレン「召集がかかったからだけど?この場にいる全員がそうでしょ。何?頭まで錆びてんの?」

 


ギルス「あぁ?なんだ、喧嘩売ってんのか?」

 


ロレン「売ってないし、売る気もないよ。というか、もっと静かにしたらどうだい?」

 


ギルス「て…んめ…っ」

 


ロレン「それはそうと、成果はあったかい?」

 


ギルス「あ?ああ、ウチの連中は誰かさんとこと違って優秀だからな。空だけじゃなく地べたでも」

 


ロレン「そっちじゃなく」

 


ギルス「は?………まさか、てめえ初めから知ってて」

 


ロレン「なんのことかな?」

 


ギルス「とぼけてんじゃねえ。なぜ知ってる?」

 


ロレン「うーん。僕はあの場にいたからね。あの時間にノールがいることも知ってたし」

 


ギルス「ちっ。まんまとハメられたってわけか」

 


ロレン「でも女一人捕えられないとは、君のとこも大したことないね」

 


ギルス「あれは…っ!………ちっ、もういい」

 


ロレン「あれ?……あぁ、時間か」

 

 

ギルス N:その姿が見えると、ざわついていた場が一瞬で静まり返った。
      ジーグ帝国皇帝、エドルド・クレイバーの姿が。

 

 

エドルド「皆集まってるな。……我が国は軍事大国と称されながらも、長年停戦協定に縛られてきた。
     しかしそれは先代の望みでもあった。その間も、諸君は牙を研ぎ続けてきたと思う。だがもう
     我々を縛るものは何もない。協定はたった今から白紙となる!今こそ積年の夢を、世界統一を
     果たす時だ!」

 


ギルス「おいおい、マジかよ」

 


ロレン「夢が、始まる…」

 


エドルド「まずはシンガを落とす!ロレン!」

 


ロレン「はっ」

 


エドルド「部隊を率いて先行しろ。半数はこちらに残し、オブリガードにも牽制をかける。足りない穴は
     やつらを使え。やつら用に作らせたものがあるだろう?どうなっても構わん。そのためのやつらだ」

 


ロレン「はっ」

 


エドルド「ギルス。お前は本隊の山越えを支援したのち、ロレンと合流しろ。お前たちに与えてる機体ならば、
     それが可能なはずだ」

 


ギルス「はっ」

 


エドルド「先行部隊は本隊駐留の拠点確保を優先。第一目標はミウジック山脈だ。他国の情報開示が正確とは
     いえない。十分に警戒して事にあたれ!」

 

ギルス N:集められた将兵たちが一斉に応え、室内は声が重く響き渡る。

 

      先代の皇帝は安寧な日々を願った。
      自分自身も無益な戦で疲弊するより、道楽に現を抜かすことを選んだ。
      そんな先代を見て育った陛下は、幼い頃からその胸に野心を秘め、次第に大きくしていった。

 

      そして今、なぜ今このタイミングなのかはわからないが、ついに時期が来たのだろう。
      積年の夢――。これはようやく俺たちが、あの人に恩返しができることを意味していた。

 

 

ロレン N:僕も彼も、いわゆる孤児だった。
      そこを陛下に拾われ、たくさんの任務や訓練をこなしていくうちに、今の地位まで上り詰めた。
      父親同然でありながら、この国のトップである陛下には、返しきれない恩がある。
      ならばせめてその夢を叶える、世界を統一するための手足でいよう。

 

      それがウマの合わない僕らが、唯一共にここに居続ける理由だ。

 

 

エドルド「出発は明朝。世界に我が国を見せつけよ!!」

 

 


* * * * *

 

 


ザイン N:予定通りに山を抜けた俺たちを待っていたのは、滝のような豪雨だった。
      ジーグ帝国の反対、シンガ王国側には、切り立った崖と山から流れ出る水源から成るヴィヴァーチェ
      峡谷がある。目的の遺跡はその峡谷に入口があるため、俺たちは一度、少し先へ行ったところにある
      小さな村で休んでいた。

 

 

アイナ「マスター、雨は止んだようですが、まだ行かれないのですか?」

 


ザイン「バカやろう。今は水かさが増してんだ。そうでなくともあんな危険な場所、安易に行けるはずがない
    だろう」

 


アイナ「そういうものですか」

 


ザイン「そういうものだ。覚えとけ」

 


アイナ「はい」

ザイン N:こんなやり取りだけで、本当に知識が溜まっていくもんだから、ヒューマノイドってやつはどこに
      行っても重宝されている。そのうえ疲れを知らないから、小さな村でも一台?一人?いるだけで、
      まったくと言っていいほど、人々の顔色が違う。それだけ必要とされてきた証だ。

 

 

ザイン「とは言ったものの、ずっとここにいるわけにもいかないしな。山を下りて3日か…。なぁ、ミク。
    お前はこれからどうする?」

 


ミク 「どう、って…」

 


ザイン「予定とは違ったが、このままお前だけもう少しここにお世話になってもいいんじゃないかってな」

 


ミク 「……」

 


ザイン「別に突き放してるわけじゃない。決めるのはお前だ。俺たちについてくるって言うなら、こっちは
    それでも構わない」

 


ミク 「……行く」

 


ザイン「そうか。じゃあ一度村を出よう」

 


ミク 「え?だって、さっき…」

 


ザイン「さっき?ああ、アイナと話してたのは、2つ目の入口のことだ。トライアド遺跡っていってな。どう
    やら入口が3つあるらしいんだが、1つは前に来た時に見つけてるんだ。ひとまずそこを目指そうと
    思う」

 


ミク 「あ、そういうこと」

 


ザイン「肝心の2つ目が、峡谷の崖に面したところにあるってんで、実際にこの目で確かめてからにしようか
    と思ったんだが、この間の大雨で何ヶ所か崩れたみたいでな」

 


ミク 「……ねぇ、3つ目は?」

 


ザイン「それがまだわかってないんだよ。いくつかそれらしい目星はつけてるが、トライアドは地下遺跡だ。
    俺たちの知らぬ間に、崩落していたっておかしくない。だからここはいったん」

 


ミク 「1つ目に行くんだね」

 


ザイン「ああ。あんな豪雨はともかく、普通の雨程度なら、そこで凌ぐこともできるしな」

 


ミク 「じゃあ、もう出る?」

 


ザイン「そうだな。なんかあるのか?」

 


ミク 「ううん。準備するね」

 

 

ザイン N:そうして村を出て、峡谷が視界に入った時だった。空から轟音が聞こえたのは。

 

 

ザイン「なんの音だ?」

 


ミク 「これ…、だんだん近づいてくる…?」

 


アイナ「マスター、あれを」

 


ザイン「ん?………なっ、あれは…っ。スカイシェル!?この方角は、帝国軍か!!」

 


アイナ「現在停戦協定が結ばれているはずです。ですが」

 


ザイン「ああ!国境を越えてきてるということは…」

 


ミク 「なに……あれ…」

 

 

ザイン N:初めて目にしたのだろう。ミクの顔は強張り、次々と山の向こうから現れる黒い塊に震えていた。
      俺たちの頭上を越えていくそれらを目で追うと、遠くの方で火の手が上がっているのが見えた。

 

 

ミク 「ねぇ、あそこって…」

 


ザイン「くそっ、俺たちがさっきまでいた村か!」

 


アイナ「マスター、どうなさいますか?」

 


ザイン「どうするも何も、俺たちが行ったところで何になる!?」

 


ミク 「戻ろう!!あそこには親切にしてくれた人たちがたくさん」

 


ザイン「わかってる!!わかってるが、行けば次は我が身だ!やつらがもし、本気で戦争を仕掛けたのであれ
    ば、そのうち本隊がやってくる!その前に俺たちは身を隠すんだ!」

 


ミク 「でも!!」

 


ザイン「……アイナ」

 


アイナ「はい」

 


ミク 「ちょっと!アイナ、放して!!私は…っ」

 


ザイン「もうすぐ入口だ。地下に入れば、おそらく見つかるまい。ただし別の出口を探す必要もあるが」

 


ミク 「ねぇ、放して!!私だけでも…っ!」

 


ザイン「アイナ、絶対に放すなよ」

 


アイナ「はい」

 

 

ザイン N:旅人の俺らには、国の情勢なんぞに興味はなかった。しかしそれが戦争となれば話は別だ。
      助けたいという気持ちがあっても、まずは自分を守れなければ、それも叶わない。

 

      俺は非情だろうか。だが時に非情にならなければ、生きていくことはできない。
      きっとミクには、俺がそういう人間に見えたことだろう。
      それでも守らなければならない、この知り合ったばかりの少女を。
      なぜだか、そんな気がしていた。

 

 

ミク 「放して!!ねえってば!!」

 


ザイン「よし、あそこだ。お前たちから先に……。うおっ、今度はなんだ!?」

 


アイナ「地面が揺れています、マスター」

 


ザイン「そんなの見りゃわかる!!長いぞ、身を屈めろ!」

ザイン N:突然の地震はしばらく続いた。
      俺たちは頭を守るように身を屈め、木の枝や果実の落下物に備えた。
      さっきまでアイナの背で暴れていたミクは、今はおとなしくしている。

      ただその顔は、俺たちに見せるものとは違うように感じた。
      なぜそう思ったのかは、今でもわからない。
      それだけ場にそぐわない表情だった。

ミク 「(呟いて)……え、なに?」

 


ザイン「………ふーっ。治まったか。こんな状況で地下に入るなんて、普段なら遠慮するところだが」

 


アイナ「では」

 


ザイン「ああ。中に入るぞ」

 

 


* * * * *

 

 


ギルス「各員に告ぐ。まもなく本隊が山を越える。先行している"アルアクロス"と合流したら最前線だ。
    これまで待たされた分、めいいっぱい暴れろ!」

ギルス N:先日のスティンガーとの遭遇で負傷していたヴィンセントとイゾラは、なんとか間に合った。
      今は俺の両サイドを二人が固めている。ノールには後方の指揮を取らせているが、あいつなら
      何かあってもうまく対処してくれるだろう。

 

 

エドルド「ギルス、降りてこい」

 


ギルス「はっ。すぐに」

 

 

ギルス N:本隊の第一陣はすでに山を越え、第二陣もまもなく合流するという時だった。

 

      山越えの支援と言われていた俺たちだが、空を覆うほどの巨木が立ち並ぶ中では、大したことは
      できない。せいぜい空から周囲を見渡す程度だ。
      これが先日の追跡の罰だということは、容易に想像できた。事情を知る者が何も言わないのは
      そのためだ。

 

 

エドルド「お前も見たそうだな。あの女を」

 


ギルス「あ。は、はい」

ギルス N:他の者に聞かれたくないのか、降り立った先には陛下の姿だけがあった。
      側近の一人も付けないとは、よほどのことと言える。

エドルド「この先、もしあの女を見つけたら、迷わず殺せ」

 


ギルス「はっ。しかし何故そうまでして…」

 


エドルド「……俺は幼い頃、あの女を見たことがある。ラングザームができるより以前から、あの女は
     幽閉されていたのだ」

 


ギルス「は?ですが、あの女はどう見ても」

 


エドルド「そうだ。あれはどう見ても少女でしかない。だが俺は道楽親父から信じられないものを見せられた。
     それが俺があれを怖れる理由の一つでもある」


ギルス「そ、それはいったい…」

 


エドルド「俺が見せられたのは、帝国の歴史が記された一冊の本だった。愛想のなかった俺の気を引こうとした
     のだろう。その本には、あの女が写っていた。何代も、何代も前からずっと、あのままの姿で」

 


ギルス「どういうことですか。そんな不気味なやつ、さっさと始末してしまえば」

 


エドルド「していたさ。が、あれはまた現れた。殺しても殺しても、な。それがいったい何を意味するかは、
     俺にも、先代たちにもわからなかった。だからせめてと、民が恐怖しないよう幽閉していたのだろ
     う。それが今になって、何故…」

 


ギルス「……逃げたのか」

 


エドルド「そうだ。お前たちを前線ではなく、本隊支援と命じたのは、無断追跡の罰ではない」

 


ギルス「俺に話すため、ですか」

 


エドルド「いいな?見つけたら必ず殺せ。逃げた今なら、過去とは違った結果になるはずだ。それに万が一また
     蘇っても、再びぶち込んでやればいい」


ギルス「はっ」

 

 

ギルス N:信じられない話だった。むしろ信じろという方が無理がある。
      話の通りなら、あの女はまず人間ではない。可能性があるとすれば、ヒューマノイド。
      だが何世代も前からというのがひっかかる。

 

      ヒューマノイドが知られ始めたのは、割と最近のことだ。
      何百年も前から存在していた、なんて記録はどこにもない。

エドルド「どうした?」

 


ギルス「いえ…。……すみません、ノールからです。……ああ。……わかった。陛下、後続の山越えも完了し
    たようです。まもなくこちらに合流するかと」

 


エドルド「そうか。後続についていたのはノールだけか?」

 


ギルス「いえ。ノールを含め3機です」

 


エドルド「ならばそのままその3機を本隊につける。お前たちは前線のロレンと合流しろ」

 


ギルス「はっ」

ギルス N:俺は機体に飛び乗ると、浮上前に陛下の言葉をノールに伝えた。
      同時に上空で待機している6人にはブースト起動を命じ、俺もすぐさま上昇する。
      勢いよく地面を蹴った震動が伝わったのか、鳥たちが一斉に飛び立った。

 

ギルス「フルスロットル!行くぞ!!」

 

ギルス N:飛んだだけじゃない。ぎゃあぎゃあと騒ぐ鳥たちの異変に、俺は気づかなかった。

 

 

エドルド「……始まったか」

 

 

ギルス N:意識はもう前に、ようやく戦えるという高揚感で溢れていたから。

 

 

エドルド「ふっふっふ…。はっはっはっは…。はっはっはっはっは!絶対に邪魔などさせるものか。運命は
     もう止められん!!」

 

 

 


M-4 "絡まる鎖"

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