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声劇×ボカロ_MDV-M

第1章  Break my fate
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第1話 《 鳥籠の少女 》
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【登場人物】

 ミク    16歳
ごく普通の少女だが、記憶が失われている。
自分がなぜ幽閉されているのかわからない。


 ロレン・アルロス   25歳
ジーグ帝国特殊殲滅隊所属"アルアクロス"の隊長。
女性のような長い髪と高慢な態度が特徴。


 ギルス・マドラー   25歳
ジーグ帝国特殊殲滅隊所属"マッドギア"の隊長。
ロレンとは仲が悪く、顔を合わせれば噛みついている。

 


 看守
ジーグ帝国ラングザーム監獄特別房担当。

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| ジーグ帝国    首都:ガイヤルド                          |
|                                            |
|世界でも有数の軍事国。                                 |
|他国と停戦状態にある現在も、着実にその力を伸ばしている。                |
|首都であるガイヤルドは、戦時下には天然の要塞と化す、軍事研究の最先端をゆく街。     |
|                                            |
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《注意(記号表記:説明)》

 

「」 → 会話(口に出して話す言葉)
 M  → モノローグ(心情・気持ちの語り)
 N  → ナレーション(登場人物による状況説明)

 


※ただし「」との区別をつけるため、MおよびNは、:(コロン)でセリフを表記する。
 また本編は"N(ナレーション)"の中に"M(モノローグ)"が含まれることが多い。


【本編】
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ミク N:目が覚めると、いつも思うことがある。
     これは夢なんじゃないか、って。

 

     右を見ても左を見ても、歪に積み上げられただけの石が覆う質素な部屋。
     手の届かない高さにある小さな窓が、かろうじて時間を知らせてくれている。

ロレン「おい、君!異常はないか!」


看守 「こ、これは隊長殿!はっ、異常ありません!」

 


ロレン「ようやく許可が下りて見に来てみれば…。なんてことはない。ただの女じゃないか。陛下はなぜ
    こんな女を幽閉なぞ」

 


看守 「わ、わかりかねます!」

 


ロレン「当たり前だ。君にわかるようであれば、僕も苦労しない。開けろ」

 


看守 「は?いえ、それは」

 


ロレン「なんだ?」

 


看守 「いえ。いかなる者も中に入れてはならぬと…」

 


ロレン「僕が誰か知ってて言ってるのかい?それとも君、ここで死ぬ?」

 


看守 「そ、そんなことは!で、ですが規則でして…」

 


ギルス「ったくよぉ、せっかく許可下りたってのに、なんでもっと近くで見たらダメなんだよ。あのおっさん
    も変なとこで融通がきかねえっていうか………。あ」

 


ロレン「ん?」

 


ギルス「おい、変態!なんでてめえがここにいる!?」

 


ロレン「それはこっちのセリフだよ」

 


ギルス「あぁ?やんのか、こら!!」

 


ロレン「うるさい、寄るな。……ちっ。君がいるだけで気分を害す。今日は諦めるか」

 


ギルス「おう、とっとと帰りやがれ、変態!キモいんだよ、女みたいな髪しやがってよ!」

 


ロレン「君はいつか絶対殺す」

 


ギルス「やってみろ、バーカ」

 


看守 「子供のケンカじゃあるまいし…」

 


ギルス「あ?てめえ今なんつった?死ぬか、おぉ?」

 


看守 「い、いえ!何でもございませっ…」

 


ギルス「ってお前が殺るのかよ」

 


ロレン「おい、衛兵!欠員が出たぞ。早急に代わりを手配しろ!」

 


ギルス「じゃあ俺はこの隙に、っと。……ん?これどうやって開けんだ?」

 


ロレン「やはりな」

 


ギルス「てめえ何か知ってんのか。教えろ!」

 


ロレン「それは扉のようで扉ではない。あるのはただの壁だ」

 


ギルス「はっ、バカかお前。現にこうして小窓から中が見えるようになってるじゃねえか」

 


ロレン「バカは君だ。それはそう見えるように細工されている。おそらく一般の者たちに、他と変わりなく
    警備させるようにね」

 


ギルス「なんのために?」

 


ロレン「僕が知るか。それもすべて陛下の仕業だろう。まったく何をそんな恐れているのやら」

 


ギルス「なら聞きに行くか」

 


ロレン「時間の無駄だね。最近は謁見すらままならない。それよりも自分のとこの錆びた歯車をなんとか
    するんだね」

 


ギルス「それ以上言ったら、今ここでぶっ殺すぞ」

 


ロレン「ふっ。じゃあね、おバカさん」

 


ギルス「……ちっ、胸糞わりぃ。俺も帰るか」

ミク N:時折、空高く舞う鳥の姿を目にする。
     何にも縛られず、己の意思で自由に羽ばたく彼らを、私は純粋に羨ましいと思った。

 


     そもそもどうして私はこんなところにいるのだろう。
     思い当たる節はない。というか、思い出せない。
     ここに来るまでの記憶が、すっぽりと抜け落ちている。

 

     だから何日も何日も、この閉ざされた部屋にいることが私の日常。

 


     明日目が覚めた時、ここじゃないどこかだったなら、私は私を探しに行けるのに。
     そう思いながら、私はまた眠りについた。

 

 


M-1 "鳥籠の少女"

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