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_/_/_/_/ R2シリーズ(ボカロ朗読) _/_/_/_/


_vol.03

 

心拍数#0822

 


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【語り手】

 

 須野 優梨愛(23) -Yuria Suno-
耕介の幼なじみ。幼い頃から耕介のことが好きだった。
一途だが、少し脆い面もある。

 

 

 

 

【参考】

 

 水沢 耕介(18) -Kousuke Mizusawa-
高校は親元を離れていたが、大学進学を機に実家に戻ってくる。
意地っ張りで素直になれない性格。

 

 

 

 

 

 

《注意》

 

・既存のボカロ台本の登場人物を“語り手”とした朗読。
・本編(ボカロ台本)に沿った内容。
・本編のすべてを朗読化するとは限らない。
(一部分を抜粋する可能性もあり)

 

 

 

 

 

 

 

【 Reading 】

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


あの頃、私は小さな約束をした。君にとってそれは、些細なことだったかもしれない。
それでも私が前を向いて歩いていくには、とても大事なことで…。
お姉さんなのに、私は泣き虫だった。でもいつも君は私を守ってくれた。傍にいてくれた。
そんな君を好きになっても、幼ながらに年の差ということを気にして、あと一歩を踏み出せないでいた私。
一年、また一年と時間が経っていくにつれて、会える日も、交わす言葉も少なくなっていった。
それでも諦められなかった。ずっと好きだった。君以外考えられなかった。

 

進路の関係で離れ離れになって3年。
久しぶりに会った君は、私より背も伸びて、昔よりずっとかっこよくなっていた。
再会して、自分の気持ちを確認する。変わらない。一番好き。
長い長い片想い。お姉ちゃんとしての私のことなんて、意識してないと思ってたのに…。

 

「好きだよ」だって。

 

初めは冗談にされて、からかわれたって思って泣いてしまった私。
でも冗談なんかじゃなかった。本気なんだって言ってくれた。
泣いてる姿を見られたくなくて、顔を隠したのに、君はぎゅっと抱きしめてくれた。
それだけで十分だったよ。
今まで知らなかった、こんな気持ち。駆け足で走る鼓動。零れる涙。温もり。
そのすべてが君から伝わる。君に伝わる。
ずっと君の傍にいたい。それが私の生きる意味。そう信じていた。

 


なのに…。

 

突然の別れ。
想いが実って、付き合って、幸せだった日々は一変した。
他に好きな人ができたなんて、また冗談だろうって思った。
でもそんなことなくて、君の顔は申し訳なさでいっぱいで。
私は自惚れていたのかもしれない。
私にとって君が必要なように、君にとっても私が必要なんだと思っていた。
向き合っていた想いは、いつしか私の一方通行になっていたんだ。

 

別れたくない。一緒にいたい。
想いの丈をぶつけても、君は首を横に振るだけだった。
そして君は、私から“幼なじみ”という枠すらも奪っていった。
何の連絡もないまま引っ越した君。がらんとした君の部屋。
君が生まれた時から積み重ねてきた、たくさんの思い出が、パズルのピースとなって記憶の中を巡る。
それらは形を成しても、今ここに、君はいない。

 


眠れない日が続いた。
どれだけ考えても、別れの原因なんて見つからなくて、本当に好きな人ができたんだと思っていた。
それならそれで、前を向くしかない。
フッたことを後悔させる。見返してやる。
そう思っても、目を閉じると浮かぶのは君の笑った顔。怒った顔。拗ねてる顔。照れてる顔。
忘れられない。忘れられるわけがない。私がどれだけ片想いしてたと思ってるの?
女々しくたっていい。ずっと好きでいるのはダメなこと?
幸せだった日々に囚われてるわけじゃない。待つのはダメなこと?
きっと何か理由がある。そうだよね?

 


夢を見た。私を呼ぶ君の声。姿は見えないけど、何度も私を呼んでいる。
震える私の心。鼓動が強く脈を打っている。
震えていた携帯。聞こえない声。でも懐かしい感じ。誰なのか、私にはわかる。
ようやく聞こえてきた声は泣いていて、呼びかけると、私の名前を口にしてくれた。

 

「ごめん、会いたい」って。

 


君は私に嘘をついていた。君の好きな人は誰?
君は私を信じてなかった。伊達に何年も片想いしてないよ?
君は強がっていた。自分の気持ちを押し殺して。
君は心配していた。自分のことよりも、私のことを。

 

嘘をつく必要も、強がる必要も、心配する必要もない。
我慢なんてしなくていい。もっと素直になってくれていい。
私にとって君はかけがえのない存在。一人になんて絶対しない。

 

病気を告白してくれた君に、私は精一杯の笑顔を送る。
辛くても、一緒に前を向いていけるように。
少しでも、君の支えになれるように。
あの頃と変わらない鼓動が、私たちの背中を押してくれる。
二人なら大丈夫。二人だから大丈夫。

 

今度は私から伝えたい。

 

「愛してるよ」って。
「ずっと一緒にいてください」って。

 

 

 


fin...

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