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_/_/_/_/ R2シリーズ(ボカロ朗読) _/_/_/_/


_vol.01

 

rain stops,good-bye

 


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【語り手】

 

 御蔵 李雨(25) ‐Riu Mikura‐
祥の彼女。明るくて無邪気な性格。

 

【参考】

 河那 祥(23) -Sho Kawana‐
ごく普通の男性。昔から雨男と呼ばれることを気にしてる?

 

 

 

 

 

《注意》

 

・既存のボカロ台本の登場人物を“語り手”とした朗読。
・本編(ボカロ台本)に沿った内容。
・本編のすべてを朗読化するとは限らない。
(一部分を抜粋する可能性もあり)

 

 

 

 

 

 

 

【 Reading 】

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


貴方を初めて見たのは、いつもの帰り道。見慣れない風景に入り込んだ、一つの異物が貴方だった。
異物なんて表現、失礼かな。でもそれだけ私の目には、貴方が印象的に映っていた。
何度も何度も同じ場所、同じ時間で見かけるうちに、声をかけてみたい、話してみたいと思った。
あれは本当に、神様の気まぐれだったのかもしれない。
それでもその気まぐれを私は無駄にはしなかった。したくなかった。

 

雨宿りしていた貴方。
勇気を出して、声をかけて、傘を差しだして。
棒読みじゃなかったかな?自然だったかな?目とか泳いでなかったかな?
考えるのは、貴方の目にどう映ってたかってことばかり。
心臓はバクバクで、次に繋がることなんて想像もしていなくて。
だから貴方が、傘を返しに声をかけてくれた時は、本当に嬉しかった。
ずっと気にしていたこと、ずっと見ていたこと。
会話の中で思わずボロが出そうになった時は焦ったけど、きっと気づかなかったはず。

 

それから雨が降るたびに、貴方に会えることが私の楽しみになった。
でも会えば会うほど胸が苦しくなり、ただ見ていることだけなんてできなくなっていた。

 

とある大雨の日。私は傘も差さずに歩いていた。
会社を出る前から“雨=(イコール)貴方”。貴方がまたあの場所にいる。
そう考えるだけで、なんだかもうどうでもよくなってしまった。
傘はちゃんと持ってきていたのに、濡れたい気分になっていた。

 

そしてやっぱり貴方はそこにいて…。

 

心配かけないように、精一杯の笑顔を作ってみても、貴方にはバレバレ。
会いたいけど会いたくなくて、触れたいけど触れたくない。
もうこの気持ちを抑えられない。そう思っていたから。

 

そんな私の心のもやもやを、貴方は綺麗に晴らしてくれた。
抱きしめて、「好きです」って言ってくれた。
整理がつかなくて突き放したのに、しっかりと言葉に、態度に示してくれた。
本当に、本当に嬉しかった。

だから返事の代わりに、私は貴方にキス。
雨なんかものともしないような、不安をすべて洗い流すような、優しい優しいキスを。

 


関係は良好…だったはずなのに、会えない寂しさと日々の疲れから、私はついきつめに当たってしまった。
電話だってしてくれたのに、本当に伝えたい言葉も伝えられないまま、それどころか貴方を傷つける言葉を
口にしてしまった。
後悔なんて今までたくさんしてきたけど、この日以上のことはなかった。

 

だって貴方とは、もう…。

 

突然の知らせ。交通事故。還らなくなった貴方。
いつも隣にいる、いて当たり前だと思っていたのに、それは叶わない。


気持ちの整理をして、もう大丈夫だって思った今日、私は貴方に会いにきていた。
伝えたかったことを伝えるために。見守る貴方に心配をかけないために。

 


私のことをわかってくれていた貴方へ。

 

貴方との最後になったやり取りに後悔して、貴方の名前を呟いて、一生分の涙を流して。
そしていっぱい考えた。私はどうすべきなのか、って。
答えはすぐに出たんだよ。でもやっぱり認めたくなかったんだ。
貴方がいなくなってから、だいぶ時間が経ってしまったけど、ようやく貴方の元に来れた。
だから、だからね…。

 

ありがとう。
素直な気持ちを聞かせてくれて。
ありがとう。
いつも私のことを一番に考えてくれて。
ありがとう。
私は貴方がいてくれたおかげで、心はずっと快晴だったよ。
ありがとう。
…。
ありがとう。
…。
ありがとう。

 

もう心配しなくていいよ。私は大丈夫だから。
貴方のことは忘れない。でも貴方に怒られないように、笑われないように私はがんばるよ。
だから、だからね…。

 

祥くん、バイバイ。
大好きです。これからもずっと…。

 

 

 

 

fin...

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